DonoCronicle

DIE WAHRHEIT IST IRGENDWO DA DRAUẞEN

ガラパゴス化

今さらではあるけど、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』を読んでいる。まだ読み終えてないけど、なかなかおもしろい。

本論はちょっと脇に置いておいて、少し逸れたところで話を拾うが、ちょっと目に留まった文章があったので、メモ代わりにここに残しておく。古代中国の役割を説明をしているなかでの記述。

(前略)日本は、日本語の話し言葉を表すには問題のある中国発祥の文字の使用をいまだにやめようとしていない。 

こういう評価の表現の仕方はおもしろいなあと思うし、また、それが日本の日本らしいところなんだよなあと改めて思った。

朝鮮半島やヴェトナムは、すでに漢字はメインの文字としては使用されず、表音文字に変わって久しい。日本もかつてアルファベット化の検討がされたことはあるものの、実現はしなかった。音を表す「かな」を2種類も作っておいて、「かな」だけの表記に統一されることもない。

そりゃあ「漢字かな交じり文」に慣れた身としては、「かな」だけの文章なんて長く読む気にはならないし、ましてや、ローマ字の文章なんて、とても読めたものではない。漢字を前提とした語彙が大量にあるから、漢字を使わないと、それこそ意味が取りにくい。外国語話者から見ると不合理なようだけど、このスタイルこそが日本語の可読性がいちばん高いのだ、とおそらく現代日本人の多くが思うところだ。ガラパゴス化言語と云えよう。

ありがたいことに、コンピュータへの入力も、日本語インプット・メソッドがしっかり対応してくれて、変換の手間はかかるものの、結果としては問題なく入力できる。もしかしたら、アルファベット圏に比べて倍以上の時間をかけて文字を打ち込んでいるかもしれないけど、3種類もの文字種を使い分けて、日本の話し言葉を表すには問題のある中国発祥の文字の使用をいまだにやめようとしないこの日本語の素敵さは、けっこう捨てがたい。

 

 

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)