DonoCronicle

DIE WAHRHEIT IST IRGENDWO DA DRAUẞEN

早生まれのジレンマ

今は昔。じゃなくて、今となってはもうどうでも良いようなことだけど、少し昔を思い出してみる。

同じ年に生まれても、年度が4月から始まっている関係で、1月から3月までのあいだに誕生日のある、いわゆる“早く”生まれた人は、ひとつうえの学年に所属する。それが早生まれ。しかし、ひとつうえに上がったその学年のなかでは、早生まれのみんなは、遅くに生まれた一団になってしまう。同じ学年のなかで、早生まれと呼ばれる人たちは、実際は遅くに生まれているのだ。それがあって、まだ児童とか生徒とか呼ばれていた可愛い頃のぼくは、どうも、早生まれという言葉と、その言葉が指し示している内容に齟齬を感じていた。早生まれだから年下、っていう言葉の使い方がいまいちしっくりこないのだ。他にもそう感じる人は結構いるんじゃないかと思う。

年度とか学年とかいうのは制度の問題なので、決め方次第でどうとでもなるものだ。別に、年度が4月から始まるからといって、その4月以降に同じ年齢になる人たちを同じ学年として取り扱う必要はどこにもない。

というわけで、個人的に感じていたこの「早生まれ」という言葉に対する違和感を解消する方法を考えてみた。とりあえず、年度のほうはいじらない。

その年の1月から始まって12月を最後とする、まさに同じ年に産まれた人たちを同学年にすれば良いのだ。小学校1年生になるのが7歳の年だとすると、1月から3月までに誕生日を迎えてすでに7歳になっている人たちと、4月以降12月までの間に誕生日があってこれから7歳になろうとしている人たちが、そろって4月に小学1年生になる仕組み。

これだと早生まれのみなさんは、まさに早生まれそのものである。先に歳を取っている。年度の終わりのほうで年が改まると、1年生だけどもう8歳になる。早生まれだからだ。同じ学年のなかで、早生まれだから、早生まれじゃない人よりも年上。これですっきり。

しかも、同じ学年の人はみな同じ年の生まれになるので、そこもすっきりする。いい大人になった今でもたまに会話に出てくる、「自分は○○年生まれだけど早生まれだから、学年は前の年の人と一緒です」みたいな不毛な説明がいらなくなる。○○年生まれならみな同じ学年だ。

この仕組みでも別に問題はないんじゃないかなあ。だいたい、昔は数えで歳を取っていたのだから、数え年が違う一団をむりやり統合するよりも、同じ数え年の人を一斉に同じ学年にするほうがやりやすくはなかったのかなあ、とすら思えてきた。如何だろうか。

まあ、ひとつ云えるのは、ジレンマではなかったな…