DonoCronicle

DIE WAHRHEIT IST IRGENDWO DA DRAUẞEN

天災か人災か

自然災害があったとき、日本ではよくそれが天災か人災かが話題になる。天災・人災、という言葉がすでにあるせいか、すぐどちらかに分けたがる傾向があるようだ。まあ、人災が強調される場合は、誰かに原因を押しつけたい意図をもってなされることが多いように見える。

国連などの災害に関するページを見ていると、災害(disaster)は脅威的な自然現象(hazard)が人間社会の脆弱性に直面したときに発生する、といった説明がなされている。つまり、自然現象(hazard)が発生しても防御力・回避力・復原力が上回って脆弱性をカバーできていれば災害にならない(被害が出ない)。逆に、自然現象のインパクトが防御力・回避力・復原力を超えたときに災害になる、という理屈だ。天災・人災という区分ではなくて、自然の力と人為の力の相対的な関係性によって災害の度合いが変わる。

シンプルな説明だけど、むやみに天災か人災かの違いにこだわるよりも、こちらの捉え方のほうが核心を突いていて理解しやすいと思う。地球上で生活していて自然現象の脅威がゼロになることはないし、災害に備えるのは人間なのだ。天災であることは否定できないし、人災の側面もまた否定はできない。

ちなみに、脆弱性というのは、ハード的なものだけでなくソフト的な対応も含んでいる。適切な避難行動を取ることで、災害をゼロにすることはできなくても、被害を大きく減少させることができる。ナチュラル・ハザードが人類の手には負えない以上、脆弱性を減らしていく、あるいは脆弱性を巧みにカバーしていく、しか道はない。備えよ常に!